FLC日記 2015年9月6日(日) 雨時々曇り
「マスクメロンは、台風が来るけんって、ハウスのビニールをはげんとたい。雨に打たれたらメロンは終わりだけん、運を天に任せて祈るしかないとよ。その結果がこれたいね・・・。でも、残ったハウスで、10月中旬には最高のメロンば育て上げるけん、期待しときなっせ!!」
「島村温室」代表の島村紀彦さんが、台風15号で、崩壊したマスクメロンの栽培ハウスを私に見せながら、そう力強くお話しいただきました。


ここは、熊本市北区植木町荻迫にある、「島村温室」さんの高級マスクメロン『アールスメロン』の栽培ハウス。
8月上旬の写真で、定植直後子です。
10月中旬には、収穫を迎えるために、苗床で栽培したマスクメロンの苗をこうして定植し、本来なら今ごろはきちんと誘引を終え、花が咲き始めている頃でした。

ハウスのビニールはチリジリになり、崩壊したハウスのパイプの下でも、メロンの苗は何とか生き延び花を咲かせています。
しかし、こうなれば仮に育てたとしても美味しいメロンはできません。

お隣の連棟建てのハウスも同じように全てダメになっていました。
風速50mにも耐えうるというハウスが無残に曲がっているのが奥に見ますよね。
8月25日、熊本県に上陸した台風15号の残した悔やむに悔やみきれない爪痕です。

熊本市北区植木町は、全国にその名をとどろかせている、「植木スイカ」と同じく、マスクメロン(アールスメロン、肥後グリーン)の大生産地です。
多くの農家さんがマスクメロンをこの時期栽培していました。
その中でも、糖度13度を超えれば美味しいメロンと言われる中、「島村温室」さんのマスクメロン(アールスメロン)は、糖度が15度を超えるような最高級のメロンです。

「FLCパートナーズストア」では、「島村温室」さんのマスクメロン『アールすメロン』の販売に向け、苗床の様子から現地取材を重ねてきました。
本日の冒頭で紹介したハウスは、崩壊しましたが、しっかりと元気に育っているハウスもあるんです。

「笠さん!ホント奇跡としか言えんよ。本当に運よくこれらのハウスだけは残ってくれたけんね!」
最初のハウスの場所から嶋村さんと移動し、現在も元気に成長しているマスクメロン『アールすメロン』の栽培ハウスを見せていただきました。

ハウスの中は、きれいに誘引されたメロンの苗たちが元気に育っていました。

「島村温室」代表の島村紀彦さんです。
「本来なら、さっき見せたハウスはここより成長が早く、芯を止めて交配(受精)をさせていたころじゃないかな。失くしたものを悔やんどる暇はないとたい。この子たちばしっかり育てにゃんけんね!」

「初めて見る人は、『メロンってこうして上に伸びて育つの?』ってビックリさすとよ。もちろん、上に伸びてるのじゃなくて、誘引して上に伸ばしとるとばってんね。」と嶋村さん。
ハウス内にはられたワイヤーから降ろしたひもにメロンの苗をまきつけながら上に伸ばしながら縦にして育てるのです。

こうしてひもにメロンの茎を巻き付けて縦に栽培します。
現在では、多くの農家さんがこの栽培方法を取り入れていますが、嶋村さんはいち早く取り入れ高品質のメロンを作り続けてきました。

「ほら見て!元気な花が咲いてるでしょ?でも今咲いている花は、まだ予行練習みたいなもんかな。美味しいメロンを作るベストの場所だけに交配してこの苗からたった1玉のメロンば作るとばい。」

「交配の前までにせにゃんことが目白押したい。さっきの誘引もそう出し、もうすぐ芯も止めにゃんとたい。こうして脇芽も摘んでいかにゃん。実らせる果実の下の葉っぱが果実を大きくして、上の葉っぱが甘さを作り出すとたい。そこをわかってしっかり育てんと大きくておいしいメロンにはならんけんね。」

「この4棟のハウスは奇跡的に残ったばってん、やっぱりビニールはところどころ破れて、風の吹き荒れとるけんこうしてねじれて切れとる脇芽もあるとたい。1本1本全部チェックして、これらはきちんと切ってやらにゃんたいね。」

「本来なら、この時期の脇芽は茎の根元から切るとばってん、その株を見ながら脇芽の芯だけを止めることもあるとたい。風でストレスを受けて、幹となる茎の葉っぱだけじゃ足らんけんね!脇芽の葉っぱも残して葉面積を確保せんといかんとたい。」

これが残した葉っぱです。
従来の栽培法通りに、全て脇芽をかぐのか、こうして葉っぱを残すのかは、長年メロンを育て続けてきた嶋村さんだかろこそできる“匠の判断”です。

「うちは、奇跡的にこの4棟が残ったばってん、ほとんどの農家さんがその全てがダメになったとたい。中には収穫間近のハウスもあったとたいね。俺もきつかったばってん、そんな農家さんはもっときつかったと思うばい。でも、これも農業たいね。太陽や雨、風の恩恵を受けながら作物ば育てるとばってん、自然の脅威も受けることがあるとたい・・・。」

この4棟のハウスが残ったことは、本当に奇跡としか言いようがありません。
その奇跡のハウスで、嶋村さんは匠の技と惜しまぬ手間ひまをかけ至高のメロンを育てます。

「こんなことに負けとられんけんね!残ったハウスはもちろん例年に負けないメロンに仕上げるし、崩壊したハウスもまたピシャッと立て直してそこでもメロンば作るばい。」
キラキラと輝く強い意志の目で、嶋村さんは、その日の取材の最後に、そうお話しいただきました。

「FLCパートナーズストア」では、「島村温室」さんの高級マスクメロン『アールスメロン』の販売に向け全力準備中です。
10月中旬から、今回取材した“奇跡のメロ”の販売予定です。
これからも、その成長の様子や惜しまぬ手間ひま、匠の技など現地取材にてご紹介します。
お楽しみに!!
FLCパートナーズストア 笠 泰紀
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