FLC日記 2015年6月29日(月) 晴れ
「11月上旬に原木となる、クヌギやナラノ木を伐採して、3月まで葉枯らしで乾燥させて、春先に“コマ打ち”ばしたでしょ?そしてこの時期に、こうして“本伏せ”ばするとたいね。ほら!見てみなっせ!!しっかりと菌が伸びてきとるたい。これを、来年の秋までこの場で育てるとたいね。そのためのベストの環境作り!それが“本伏せ”たいね!!」
「小春農園」代表の小原正宏さんがそう言いながら、原木に伸びたしいたけの菌を見せてくれました。
ここは、熊本県山鹿市鹿北町。
「小春農園」さんの『原木しいたけ』の栽培地です。
昨年11月にクヌギを中心に伐採して、その場所にしいたけ菌のコマ打ちをした“原木”を「仮ぶせ」という工程でならべて、その上に雨よけのシバ(竹の枝、クヌギの枝)を乗せてあります。
来年秋の“ボタお越し”までは、この地で『原木しいたけ』を栽培します。
『原木しいたけ』とは、主にクヌギやナラの木を原木とし、そこにしいたけの菌(コマ)を打ち込み栽培する方法、つまり、最も自然に近い形で育てられた、しいたけのことです。
その生産の過程のたくさんの労力と長い年月を要することで、日本国内のしいたけ生産量のわずか2割にまで落ち込んでいます。
“生”の『原木しいたけ』のとなると、スーパーなどではほとんど見かけることはありません。
生しいたけの約9割は、「菌床しいたけ」と表記されていると思います。
「菌床しいたけ」とは、おがくず等と肥料を使い“菌床”として栽培する方法です。
「FLCパートナーアズストア」では、「小春農園」さんの、その大変貴重な『原木“生”しいたけ』を、ネット独占販売しています。
本日は、その栽培工程の1つ“本伏せ”の様子をご紹介いたします。
「小春農園」代表の小原正宏さんです。
「笠さん!良かタイミングで来たね!ちょうど今からこの並びば、“本伏せ”するところだったけん、しっかり見て行くと良かよ!」
私は、こうして「小春農園」さんの『原木しいたけ』栽培の様子を、もう何年もの間年間を通して現地取材しています。
「それが、最初の組み方ですか?」と尋ねると、
「そう!この最初のところをきちんと組んどかんといかんとたい。こっちに回って撮影しなっせ!その方が解り康かばい!」
小原さんにそう言われ、回り込んで撮影しました。
どれもこれも、しっかりとしいたけ菌が伸びている良い原木です。
「この最初のところは、できれば同じくらいの大きさで、まっすぐなのが良かとたい。ここを起点にしてどんどん組んでいくけんね!」
「せっかく移動してもらったばってん、そこに“仮伏せ”しとる原木ば使うけん、場所ば変わろう!」
小原さんはそう言うと、次々に原木を取り上げ組んでいく工程にあわせ置いていきます。
「斜めの足にする分、上に乗せる枕木にする分、それらば今見極めてその近くに置くとたい。仮伏せの時には、とにかく均等な高さになるようにだけ考えて、積んどるけんね!」
これが、仮伏せされている原木たちです。
わかりやすく言えば平積みですね!
しいたけ菌は直射日光(紫外線)に弱いので、クヌギの枝などを乗せて紫外線から守ってありました。
「それじゃぁ、組んでいくばい。まずさっきの起点としたところに、大きめの原木ば2本くらいのせるとたい。その重みで、しっかり固定できるようにね。」
「斜面の上に向かって伸ばすとたいね。もちろん平らならそれに越したことはないけどね。この2本もできればまっすぐなのが良かとたい。」
「その両サイドに、1本ずつ細い原木ば置いとくとたい。これは、さっきの原木がずれたりせんようにするためたいね。もちろん2本ともに置くけん、ここには計6本使うかな。」
「そして、太か原木ば上に乗せるでしょ!その時、これば用意しとかにゃんたいね!」
「つっかえ棒でしょ!!」と言うと、
「おぉ!さすがに何年も取材しよるとちゃんと解っとるばいね!(笑)」
「このつっかえ棒で、とりあえず支えといて、次の作業ば進めるとたい。最初の起点の時の様に、斜めの原木ば配置するとたい。」
「斜めにおいて、上にもう1本置いたら、もうしっかり固定されとるばい。とにかく、この状態で約1年半くらいは置いとかにゃんとだけん、その間に崩れんようにしっかりとした本伏せばせにゃんたいね。その上にシバ(クヌギの枝や竹の枝)を置いて、紫外線からは守るけど、同時に風通しも良くしとかんといかんとたい。」
本伏せを終えた原木には、奥様の美子さんが手際よくシバを乗せていました。
クヌギの枝は伐採の際に落としたもので、竹の枝は「小春農園」さんが栽培している幻の白い『長生たけのこ』の間伐の際に用意していたものです。
「こうなれば、もうつっかえ棒はいらんとたい。外してもほら!しっかり固定されとるでしょ?あとはこの作業の繰り返しで、本伏せしていくとたい。」
この本伏せ作業ひとつをとっても、かなりの重労働と手間ひまです。
「今日作業を終えると、今年の分のやっと半分ってとこかな。『原木しいたけ』は、こぎゃんしてどうしても手もかかるし体力もいるとたい。ばってん、一番自然に近い形の栽培方法で、もちろん無農薬・無化学肥料たいね。安全で美味しい食材を提供するために、これからも頑張るばい!」
小原さんは取材の最後にそうお話しいただきました。
「FLCパートナーズストア」では、「小春農園」さんの『原木しいたけ』をネット独占販売しています。
次回の販売は、昨年こうして本伏せまでしたものを、秋口にボタお越しをして、収穫されるものです。
安全・安心な美味しさにこだわった“本物”と呼べる『原木しいたけ』です。
私も収穫の秋が楽しみでなりません。
これからも、現地取材を続けていきます。
FLCパートナーズストア 笠 泰紀
ホームページはこちら
『FLC日記』は「にほんブログ村」のランキングサイトに参加してます。
下のバナーをクリックして、ランキングアップにぜひご協力下さい。
よろしくお願いします。
スーパー・青果店情報をチェック!