FLC日記 2015年3月19日(木) 雨(雷雨)のちくもり
「しいたけ菌がしっかり伸びるようにするために、他の雑菌が入っとらんようにせにゃんとたいね。そのためには、枯れ枝は、玉切りと同時に、枯れ枝の部分はなるべくそぎ落とすようにカットするとたい。」

「小春農園」代表の小原正宏さんが、玉切り作業をしています。
チェーンソウがクヌギの原木に入ると、乾いた音と同時に、原木の切りくずが大きく舞い上がりました。
玉切りとは、『原木しいたけ』を栽培するために、しいたけ菌を打ち込むための原木を、同じ長さに切る作業のことです。

ここは、熊本県山鹿市鹿北町にある、「小春農園」さんの『原木しいたけ』の原木とするためのクヌギの伐採現場です。
「小春農園」さんでは、自然に最も近い栽培法と言われる『原木しいたけ』を、完全無農薬、完全無化学肥料で育てています。

これは、11月中旬の伐採直後の様子です。
伐採したクヌギは、約4ヶ月その場で「葉枯らし」と呼ばれる水分を抜く作業状態にしておきます。
上の写真とは、葉っぱの色が明らかに異なりますよね。

『原木しいたけ』とは、主にクヌギやナラの木を原木とし、そこにしいたけの菌(コマ)を打ち込み栽培する方法です。
11月中旬の伐採作業から数え、約2年もの長い年月を要し、しいたけを育てるのです。
たくさんの手間ひまと、労力、長い栽培期間を要するため、現在、日本のしいたけ生産量の約2割にまで減少している大変貴重なしいたけです。

「こんにちは!今年も玉切り作業の様子を見せて頂きに来ました。こっちは今年も、おじいちゃんとお孫さんの名コンビでやってるんですね!」
「ハハハッ!“迷”コンビじゃないですかね!」
そう笑顔で答えてくれたのは、「小春農園」専務の小原将輝さんです。

おじいちゃんの正法さんが、基準とする竹を原木にあてながら一定の長さ(1m5cm)にチョークでしるしをつけていきます。
それに合わせて、将輝さんがチェーンソウで切っていくのです。

「チェーンソウが修理から戻ってきて、じいちゃんも玉切りしているので、今年はかなり効率よくできていますよ!」と将輝さん。
「原木(ボタ木)は、どれくらいの細さまで使用できるんですか?」と尋ねると、

「うち(小春農園)では、ある程度の細さまでは使用しますね。細いのには、収穫のシーズンになると早めにしいたけが立って、太いのには遅めに立つんで、収穫が長期に割ったってできるんです。今年も、ベストな時期に伐採をして、上手く葉枯らしの期間を経てきたので、良い原木になりそうです。」
と将輝さんが教えてくれました。

「その手に持っているのも原木になるんですか?」と正法さんに尋ねると、
「これはならんね!昔はこれで和傘の芯の部分ば作りよった貴重な木ばい。」と教えてくれました。

「向こうでもチェーンソウの音が聞こえていますね!小原さんと奥様の仲良しご夫婦のコンビですか?」と言うと、
「そうですね!行ってみたらどうですか?」と将輝さんに言っていただき原木をかき分けながら進み近づくと。

奥様の美子さんが原木に切る場所の印をつけ、小原さんが玉切り作業をしていました。
「こんにちは!今年も取材に伺いました!!」
作業の合間を見て、そう声をかけると、

「笠さんは毎年見に来よるけん、もうすっかり『原木しいたけ』作りは覚えたろ?」と小原さん。
「ありがたいことに、お教え頂き伐採からすべてを行った私が育てている『原木しいたけ』が、今年からしっかり立ってますよ。」

「なにせ、私の『原木しいたけ』作りの師匠は、匠の農家の「小春農園」さんですから、良いしいたけができるんですよね!私もまもなく、自分の原木を玉切りしないといけないんですよ!!」そう言うと、
「ならば、これば覚えて帰りなっせ!こうしてある程度の太さの枝は、玉切りの時にチェーンソウで切るたいね!」

「そんな時に、これのごつ、伐採する前から枯れているような枝とか枝の後があるたい。それらは、こうしてちょっと深めに切り落とさにゃんばい。」

「よかね!こぎゃんして幹を少しそぎ取るようにして切り落とすとたいね。もともと枯れとった枝には、すでに雑菌が廃っとる可能性があるとたい。」

「そうすると、しいたけ菌が上手く伸びきらんことがあるとたいね。だけん、ちょっと深めにすでに入っているであろう金も一緒に、こうして切り落としておくと、しいたけ菌だけがしっかり伸びるってわけたい。」

「なるほど!師匠!ありがとうございます。やっぱり今年も来てよかった!!」そう言うと、
「せっかく、こぎゃん山の中まで来たとだけん、何かためになることば覚えて帰らにゃんたい!(笑)」と小原さん。

「コマ打ち、いつ行うんですか?」と尋ねると、
「玉切りが明日くらいまでかかるとたい。その後からすぐするよ。それまでは、ボタ木をよせといて、葉っぱの残った枝を乗せて、雨風や日照りから守るとたい。」

「コマ打ちして仮伏せまでは、クヌギの葉っぱでボタ木を守らにゃんけん、笠さんも枝ばちゃんととっとかにゃんよ!」と小原さん。
本当によく丁寧にお教え頂く大変ありがたい師匠です!!

その3日後、「コマ打ち作業」が行われました。
もちろん、現地取材をしてきました。
「コマ打ち作業」の様子は、また後日、このブログで詳しくご紹介いたします。

「FLCパートナーズストア」では、「小春農園」さんの『原木しいたけ』をネット独占販売しています。
もちろん大好評いただき、今シーズンの『原木しいたけ』は完売いたしました。
本日「玉切り」した原木から収穫を迎えるのは、来年の秋以降です。
これからも、様々な作業の様子や、匠の技など現地取材でご紹介していきます。
FLCパートナーズストア 笠 泰紀
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