FLC日記 2014年11月26日(水) くもり時々雨
昨日に続き、『原木(げんぼく)しいたけ』のクヌギの原木の伐採の取材日記です。
熊本県山鹿市鹿北町にある「小春農園」さんでは、現在国内のしいたけ生産量の約2割にまで減少した『原木しいたけ』にこだわり、最高級のしいたけを栽培しています。
昨日のブログをまずご覧いただくと、このブログの話の流れがわかると思います。
原木しいたけ 2年後の収穫へ向け、原木の伐採 その2
『原木しいたけ』とは、主に、クヌギ、ナラの木を伐採し、乾燥させ、コマ(しいたけ菌)を打ち込み、菌を根付かせ、その原木からの栄養でしいたけを育てる栽培方法で、農薬や化学肥料などを一切使わない、天然に最も近い形で育ったしいたけです。
現在、一般流通しているしいたけの約8割は「菌床しいたけ」と呼ばれる、おがくず等と肥料を使い“菌床”として栽培する方法で育てられています。
多くの設備投資は必要ですが、ハウスや建物の中で栽培され、温度や湿度管理をすることで、1年を通して収穫が可能です。
一方、『原木しいたけ』の栽培には、伐採作業から2年もの歳月と、その間の多くの手間ひまを要します。
「小春農園」代表の小原正宏さんが、しいたけの菌を来春打ち込むための、クヌギの原木を伐採しています。
チェーンソウを使って切り倒します。
今回も見事に、目標にしている方向へ倒れていきました。
その後の作業段取りを考え、同じ方向に倒していきます。
「笠さんは今年も、原木ば伐採するとだろ?この倒れる瞬間はしっかり注意しとかにゃんばい。枝のはり方次第では、切った根元ば大きく跳ねることがあるけんね!!」と小原さんがアドバイスしてくれました。
伐採した原木は、3月の玉切り作業(原木を同じ長さに切りそろえる作業)まで、この状態で乾燥させます。
これを“葉枯らし”と言って、葉っぱがある状態で原木を伐採し、葉っぱから水分を抜いていくのです。
「笠さんは、何回も見てきとるけん知っとろうけど、今、伐採したのは、このあたりまでまず三角の切込みば入れたとたいね。その切込み方向に倒そうと思ってね。」
「そして、反対側からこんな感じでチェーンソウを入れていくとたいね。三角の切込みのちょっと上あたり・・・。だいたい1cm位上かな・・・。今の原木のように、原木が上にまっすぐ伸びて育っていたら、思い通りに倒れるかな。ただ、今から切る分は、将輝と2人でせんと、思う方向には倒れんと思うとたいね・・・。」
それが、この原木です。
小原正宏さんの息子さんで、「小春農園」専務の小原将輝さんに説明いただきました。
「今私がいる方向に倒したいんです。でも、この原木は曲がって伸びていて、重心が反対方向に傾いてるんですよ。だから、さっきの三角に切り込みを入れて、反対からチェーンソウで切るやりかただけでは、必ず重心の方向に倒れてしまうんです。」
「そんな時は、この道具を使うんですよ!」
将輝さんは、なんだか長い竹の先に着けたものを原木に取り付けようとしています。
「これを、このあたりに引っ掛けて、倒したい方向にロープで引くんです。出来るだけ上の方にかけて引くと、同じ力でも強く引けますよね。この道具は、私が考えたんですよ!」
取り付けられた部分はこんな感じになっています。
以前は、ロープを原木に渡して2本のロープを引いていたのですが、この道具を使えば1本のロープを引くだけでいいので力もしっかり入ります。
「笠さん!俺たちは、将輝がいるあの方向に倒そうと思いよるとたい。」
と小原さん。
原木が取れた際の将輝さんの逃げ場をきちんと確保して、慎重な段取りで進めていきます。
将輝さんは、先ほどの道具がきちんと幹と枝に絡んで、ロープが強く引けるかを確認しています。
全ての確認が済むと、
「よ~し、始めるばい!」と小原さんが言って、この難敵の伐採作業が始まりました。
まずは、倒したい方向の幹を、三角に切り込んでいきます。
次に、三角の切込みより少し上の反対側を、水平に切っていくのです。
将輝さんは、注意深く原木の上の方を見ています。
いよいよその時が訪れます。
将輝さんは、腰を落としてさらにロープを力強く引っ張っています。
そして次の瞬間!
大きく枝葉を揺らしながら、難敵だった重心が反対側にあった原木が、親子二人の匠による共同作業で、目指す方向に倒れていきました。
見事です!!
将輝さんは、倒れるギリギリまでロープを引っ張っていて、倒れはじめた瞬間に、あらかじめ確保しておいた逃げ場の方に移動していました。
伐採後、ロープを外し回収するのも、先ほどの道具だと簡単にできます。
幹と枝に絡ませていたところを、外せばいいのです。
これが、幹にロープを渡していたら、引っ張っていた分を手繰り寄せて回収せねばなりませんよね。
倒した原木の葉の方に移動しました。
まだ紅葉やましてや落葉する前の青い葉っぱの状態で、原木の伐採は行います。
『原木しいたけ』は、昨日と本日でご紹介した原木を伐採するところから始まり、コマ打ち、仮伏せ、本伏せを経て、ボタ木起し(栽培地に移動すること)を行う、本当に手間ひまと時間のかかる栽培方法です。
今回伐採した原木から、しいたけが育ち、収穫できるのは、2年後の秋からです。
多くの手間ひまと労力、長きにわたる準備期間を要するので、『原木しいたけ』の生産農家さんは減少し続けています。
小原さんに『原木しいたけ』にこだわる理由をうかがいました。
「安心して食わるっ、うまかもんば作ろごたる!!ただそれだけたい。」
(安心して食べることができる、美味しい食材を育てたい!!ただそれだけだよね。)
「小春農園」さんのこだわりは、この熊本弁に込められていると思います。
「小春農園」さんでは、農薬や化学肥料などを一切使わない、原木にしいたけ菌を伸ばして育てるという、自然に最も近い形で『原木しいたけ』を栽培しています。
「何も足さない!何も引かない!」まさに究極の自然農法といえると思います。
だからこそ、小原さんの言う「安心して食わるっ!」なんです。
このお二人の笑顔は、安心・安全で美味しい、“本物”と呼べる『原木しいたけ』を育てる、自信と誇りの表れだと思います。
「FLCパートナーズストア」では、「小春農園」さんの清流の里の『原木しいたけ』をネット独占販売しています。
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毎年、秋の販売スタートと同時に、「待ってました!!」とばかりに、ご注文(ご予約)を頂戴するリピーターさんがとても多い、大人気商品です。
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FLCパートナーズストア 笠 泰紀
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