FLC日記 2014年7月24日(木) くもり時々雨のち晴れ
昨晩は、生まれたばかりの『烏骨鶏』のヒナ(名前はテン)と、一睡もせずに過ごしました。
そして、昨日の大惨事を避けるべく、今朝は夜明けとともに鶏舎に行きました。

7月4日から卵を温めている親鳥です。
早ければ、温めはじめて21日目の今日、ヒナが誕生するはずなのです。
今日のお話は、できれば昨日のブログを読んでから、お読みいただきたいのですが、昨日の大惨事と唯一生き残ったテンとの話をダイジェストで紹介します。
昨日のブログ
「ヒナ誕生!しかし・・・大惨事!!そして残った命を守る話」
※一部見るに堪えない写真がありますが、この話を進めるために掲載しています。

昨日の朝、鳥たちにエサをあげに行くといつもと違う雰囲気が・・・
ヒナが生まれたのだとすぐに気が付きました。
でも、ヒナの声がしないのです。

中を見ると、すでに大惨事になっていました。
生まれたばかりのヒナは動かず。これから生まれるはずの卵の中身は血の海です。
親鳥が、ヒナたちの鳴き声を敵(侵入者)と勘違いし、攻撃していたのです。

その原因は、この親鳥の生い立ちにありました。
母鳥が温め孵化したのではなく、孵卵器によって生まれたので、母親の愛情を知らずに育ったのです。
本能で卵を温めたものの、生まれてきたヒナを受け入れることができなかったのです。

そんな中、「ピヨピヨ」とかすかな声がしました。
最も孵化が遅かった卵が奇跡的に攻撃されずに残っていたのです。
私は、本来親鳥がすべき殻を割る手伝いをして、ヒナを孵化させました。

でも親のもとに戻しても、間違いなく攻撃されます。
でも、まだ毛も乾かぬヒナは、このままでは体温が下がり死んでしまいます。
私は連れて帰り、私の手で育てる決心をしました。

とにかく暖かくしなければいけません。
手の中で温め、時には息を吹きかけて、その小さな命を救おうと必死でした。
1時間ほどで乾く羽も、鳥より低い人間の体温ではなかなか乾きません。

私はこの子に、10個の卵から唯一残った1羽なので、数字の“10”、テン(ten)と名付けました。
一睡もせず温め続けた甲斐あって、今朝は立ち上がりなんとか少し歩けるまでになりました。

私の左手は、ずっとテンのためにありました。
テンも私の左手から全く離れようとしません。
この小さな命を守り、テンを立派な親鳥に育てようと決心しました!
これが、昨日のブログのダイジェストです。
これからは、本日のお話です。
私の左手から離れないテンを連れ、夜明けとともに鶏舎に行きました。

温めさせている親鳥のとこに近づくと、血の付いた卵の殻がりました。
「やばい!遅かったかぁ・・・」
昨日の惨劇が頭をよぎりました。
動揺していたので、これからの写真は、ピントがずれている場合があることご容赦ください。

私は、テンをひざの上に置き、親鳥のおなかの下をのぞき込みました。
すると、今にも孵化しそうな卵から「ピヨピヨ」と小さな声が聞こえてきました。
私はすぐにそのタマゴを取り上げました。
昨日のような悲劇をおこさぬよう、親鳥の攻撃から守るためです。

しかし、昨日とは明らかに様子が異なります。
卵のからはヒナが動くたびに割れ、鳴く声も徐々に大きくなりました。
それに対し親鳥は、「コ、コ、コ、コッ」っと、親鳥特有のヒナを呼ぶ声を発したのです。

私は、思い切って、孵化寸前のタマゴを親鳥のそばに戻しました。
すると、親鳥は攻撃するどころか、そのタマゴを自分の羽の中に入れたのです。
「これならいける!この親鳥はきちんと母親になってくれる!」そう直感したのです!

私は、テンをこの親に育てさせようと思いました。
先ほどの卵を自分の羽の中に戻している隙に、ひざの上のテンを親鳥のそばに近づけたのです。
もし、攻撃しようものなら、すぐに戻さないといけないので、すごく緊張が走りました。

次の瞬間!
親鳥は、わが子を呼ぶように「コ、コ、コ、コッ」っと、テンを呼んでいます。
テンはすごく不安そうに私を振り返りながら見ています。

テンを昨日からずっと一緒だった私の左手から、そおっと下ろしてみました。
テンはなかなか親鳥に近づこうとしません。
それどころか不安そうにきょろきょろしています。

親鳥は、攻撃する感じは全くありません。
とても優しく「コ、コ、コ、コッ」っとテンを呼んでいます。

そして、その時が来ました。
親鳥はテンを自分の羽の中に入るよう促したのです。

テンはそう促されるとすぐに、親鳥の羽の中に入ろうとしました。
私は、心の中で「やったぁ!!」と叫びました。
しかし、いったん羽の中に入ろうとしたテンは・・・

こちらを振り向き、私の目をしっかり見たのです。
つぶらな瞳が私に話しかけます。
「命を助けてくれてありがとう!」
テンにそう言われたような気がしました。

そして、今度は母鳥の目をじっと見て、
「お母さん!よろしくね!!」
そう言っているみたいでした。

私は、急にさみしくなり、テンが大好きだった私の左手を思わず差し出しました。
でも、テンは母鳥にしっかり寄り添い左手に近づくことはしませんでした。
母鳥は「大丈夫!私に任せて!!」と言っているようです。

テンは母鳥の羽の下に潜り込み、顔だけちょこんと出しました。
その瞬間に、私はこの子を“テン”と呼ぶことをやめようと思いました。
これから生まれる兄弟たちと共に、同じように育ってくれればと思ったからです。

そして今日新たに、新しい小さな命が2つ生まれました。
この子らは、おそらく全て別の親から生まれた卵です。
同じ日に生まれた卵を集めてこの親鳥に温めさせたからです。
親は違えど、兄弟です。
そして、この偉大なる母の子供達です。
きっと、この母鳥なら、みんなを元気に育ててくれると思います。

テン!
本当によく頑張ったね!!
生きてくれて、ありがとう。
もう“テン”とは呼びません。
でも、あなたが頑張り生き抜いた姿を、私は決して忘れません。
今日からは、新しいお母さんと共に元気に生きて下さい。
あなたの成長を、私はこれからもずっと見守っていきます。
そして、
新しいお母さん鳥には、自分は母親の愛を知らずに育ったのにもかかわらず、こうして立派な“母親鳥”になろうとしてくれることを、すごく誇りに思います。
この子たちをよろしくね!
本日は、「ヒナ誕生!の続き!! 母鳥誕生の感動のお話し!」でした。
かなり長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
FLCパートナーズストア 笠 泰紀
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