FLC日記 2014年4月1日(火) 晴れ
「昨年までみたいに、しいたけ菌の“コマ”ば打つとに、もう今年からは、金づちは使わんばい!今年からは、「しいたけ形成菌」って言うのば使うことにしたけん、ドリルのサイズを変えたり、回転数を変えたりはせにゃんだったけど、コマ打ち自体はすごく楽になったばい!」
「小春農園」代表の小原正宏さんが、原木しいたけの原木(ぼた木)を、運搬機で運びながら、そうお話しいただきました。
熊本県山鹿市鹿北町の「小春農園」さんは、『清流の里の原木しいたけ』を生産する匠の農家さんです。
『原木しいたけ』とは、主にクヌギやナラの木を原木として、しいたけ菌を打ち込み育った、最も自然に近い方法で育てられたしいたけです。
これは、「小春農園」さんの「原木しいたけ『トリプル1』」です!!
弊社男性スタッフの手のひらからこぼれ落ちそうなほどの大きさです!それにこの肉厚さは、驚異的ですよね!!
この『トリプル1』は、“1年目”の原木からのみ育ち、収穫量のわずか“1割”で、“1級品”の味わいを持つことから、3つの“1”、トリプル1と命名されたしいたけです。
こんな素晴らしいしいたけを育てるには、2年もの歳月を要し、多くの手間ひまと労力が必要なんです。
「今年も、『トリプル1』のできるような、ほんなこて良か“ぼた木”のできたばい!笠さん!俺が“ぼた木”ばおろしよる作業ば見よったって仕方なかけん、今、息子とかみさんが“コマ打ち”作業ばしよるけん見てきなっせ!」
そう言っていただき、見に行くと、“コマ打ち”作業が始まっていました。
小原さんの奥様の美子さんと、息子さんで専務の将輝さんです。
将輝さんが、原木にドリルで穴をあけ、美子さんがしいたけ菌のコマを打ち込んでいます。
「タオルで全く顔が写らないのですが・・・」と言うと、
「それならちょうどよかった!恥ずかしいから写さないで!(笑)日焼け防止にもなるから、ちょうどいいのよ!!(笑)」
そんなやり取りを、将輝さんが笑いながら見ています。
「それにしても、もう「コマ打ち」じゃなくて、すっかり「コマ入れ」作業ですね!」と言う私に、そのコマを見せてくれました。
「ほら見て!昨年までは、木のコマに培養してあった菌を金づちで打ち込んでたけど、今年からはこれを差し込むだけになったとよ!作業はずいぶんと楽になったけど、やっぱり手間ひまは変わらないかなぁ・・・。」と美子さん。
これが、昨年まで使用していた“コマ”です。
木のコマに、ついている白いのがしいたけの菌です。
これを原木に差し込み、金づちでたたいて打ち込むのです。
昨年、「小春農園」さんの「コマ打ち作業」の取材時に、私がお手伝いをしている様子です。
先ほどのコマをドリルで開けた穴に1つ1つ差し込み、金づちで叩いて打ち込んでいきます。
「しっかり金が届くように、最後の1打ちは、しっかり叩いとかにゃんよ!!」
そう、美子さんに教えて頂いたのを覚えています。
このコマに変えた理由を将輝さんに尋ねました。
「この「形成菌」の方が、原木にしっかりと根付いて、奥までしいたけ菌が伸びるんです。それに、金づちで叩く手間も省けるんで、今年からこのコマを採用しました。」
「穴をあける数は、5、4、5、4で同じなんですか?」と尋ねると、
「穴をあける数は、昨年までと一緒の端から端までで5つ、そして、端から少し離したところから4つの繰り返しで、千鳥にあけていくことも同じです。ただ、大きなドリルを使って、回転数もあげてしなければいけないので、かなり要領が必要になりましたね!」と、将輝さん。
そう言いながらも、次々と手際よく原木にドリルで穴をあけていきます。
原木に穴をあけると、小原さんたちのお父さんが考案したという、「コマ家用の台」に乗せて、コマ打ち作業をしていきます。
この台がかなりの優れものなんです!!
奥の方には、穴をあけ終わった原木をどんどん乗せることができ、一番手前でコマ打ちの作業をします。
作業をする部分は、斜めに材木を飛び出させてあり、原木をしっかりと固定できるように工夫されているのです。
「もう、金づちで打ち込むことはないので、そこまでしっかり固定しなくても良いけど、やっぱりこの上でするのは作業も楽よね!太い原木はこの上に乗せるのも大変なので、地面に置いたまま作業するけどね!」と、美子さんが教えてくれました。
「笠さん!しいたけ菌は原木の繊維に沿っては、良く伸びるんです。だから、縦の間隔は広くとっても、横の間隔は狭くしないとダメなんですよ。そして、5、4とあけるのは、千鳥と言って、交互にしいたけ菌を打ち込むことができるようにしているんです。」
将輝さんが、作業の手を止めそう説明してくれました。
小原さんが原木を下ろして、運搬機に乗って戻ってきました。
「今年もベストの時期に伐採ができて、しっかりしいたけ菌が伸びる良い原木が用意できたばい!来年の「原木しいたけ」にも期待して良かばい!!」
順調な作業に、しいたけの“匠”、小原正宏さんも満足の笑みがこぼれます。
今回「コマ打ち」をした原木から、しいたけを収穫するまでは、まだまだ長い年月と、たくさんの手間ひまを要する労力が必要です。
コマ打ちの後、「仮伏せ」「本伏せ」をし、来年の秋までこの伐採をした地で、1年以上をかけしいたけ菌を原木にしっかりと伸ばします。
それから、「ボタおこし」と言って、『原木しいたけ』を栽培し収穫する、この杉の林に移すのです。
現在、国内で流通しているしいたけのほとんどが、「菌床しいたけ」です。
おがくず等を肥料として使う栽培方法で、ハウスや建物の中で栽培され、温度や湿度管理をすることで、1年を通して収穫が可能です。
『原木しいたけ』は、このような多くの手間ひまと、伐採から数えると、2年もの長い年月要することで、国内のしいたけ生産量のわずか2割にまで減少しています。
「小春農園」さんでは、この親子の“匠”を中心に、完全無農薬・無化学肥料で育てる、安全で安心な“本物”と呼べる最高級の『原木しいたけ』を作り続けています。
「FLCパートナーズストア」では、今年も「小春農園」さんの『原木しいたけ』をネット独占販売いたしました。
おかげ様で、全国のお客様より大変ご好評いただき、今季の発送は、本日分をもって終了いたしました。
本日「コマ打ち」作業をご紹介した『原木しいたけ』の収穫および出荷は、2015年の秋口からです。
これからも、「小春農園」さんの惜しまぬ手間ひまや匠の技、『原木しいたけ』ができるまでを、現地取材しご紹介していきます。
お楽しみに!!
FLCパートナーズストア 笠 泰紀
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