2013年3月31日(日) 晴れ
「今日コマを打っても、原木しいたけを収穫できるのは、2梅雨が過ぎてからたいね。だけん、今からだと来年からの収穫になるたいね!原木を伐採する時期から考えると、丸2年かかるとたい!」
そうお話いただきながら、「コマ打ち」を手際よい作業で進めているのは、「小春農園」代表の小原正宏さんのお父さん、小原正法さんです。
本日は、『原木しいたけ』の「コマ打ち」作業を昨日に続きご紹介します。
『原木しいたけ』とは、主にクヌギやナラノ木を原木とし、そこにしいたけの菌(コマ)を打ち込み栽培する方法です。
たくさんの手間ひまと、労力、2年もの長い年月を要するため、現在日本のしいたけ生産量の約2割にまで減少しています。
熊本県山鹿市鹿北町の「小春農園」さんは、その『原木しいたけ』にこだわりぬき、完全な無農薬、無肥料で安心・安全な最高級の『原木しいたけ』を栽培しています。
栽培工程の中のひとつが「コマ打ち」です。
昨日、原木にドリルで穴をあける作業をご紹介しました。この写真の奥のほうでは、小原正宏さんと息子さんの将輝さんが、その作業をしています。
正宏さんの奥様とお父さんの正法さん、お手伝いにこられているコマ打ち名人のお姉さま方お2人は、どんどんとコマを打ち続けています。
「小春農園」さんでは、2種類の『原木しいたけ』を栽培しています。
秋から春にかけて収穫するものと、「夏菌」といって夏に収穫する2種類です。
これは、通常の秋から春にかけて収穫する『原木しいたけ』のコマです。
しいたけの胞子をこのコマに培養してあります。
そのコマを、ドリルで開けた原木の穴にさし、金づちで打ち込む作業、それが「コマ打ち」です。
袋から取り出されたコマは、このような腰にかけた袋に移し、1つ1つ手にとりながら原木に打ち込まれていきます。
一方こちらは、「夏菌」のコマです。
左手に持っている緩衝材の「プチプチ」みたいなのがコマで、こちらは金づちを使わず、1つ1つ手で押し込んでいきます。
いずれも、1つ1つそれはそれはものすごく労力を要する手作業です。
その作業効率を上げるために、正法さんが作り出したのが、この「コマ打ち」専用の台です。
この台は、ただ単に原木を乗せるだけではなく、一工夫がされていました。
「コマ打ち」の作業をするために、一番手前に原木を固定できるように、台にもう1本斜めにせり出した部分を作っているのです。
「ここに固定して作業ができるから、随分と楽よ!」と、コマ打ち名人のお姉さまもお話いただきました。
ただ、太くて大きな原木は台に乗せるのも大変なので、そのまま作業します。
「ほら!笠さんもせっかく来たのだから手伝って!!どうせなら大きいのにコマ打ちしてね!笑」と奥様・・・。私もお手伝いをさせていただきました。
みなさん、本当に手際よくいいリズムで作業を進めていますが、やってみるとこれがけっこう難しいんです。
「しっかり打ち込んでね!しいたけ菌が奥までしっかり回るように!最後の1叩きは金づちの角を使ってしっかりね!!」と、奥様の厳しい(笑)チェックをいただきながら作業を進めました。
コマ打ちが終わった原木は、「仮伏せ」をする場所へ移動させ、すぐに日光を防ぐための寒冷紗(黒い布)をかけます。
しいたけ菌は紫外線に弱いからです。
この「寒冷紗」は、仮のもので、本来は“シバ”といって、伐採した際の枝や竹の枝を使って、雨風と日光から原木を守ります。
この状態で、約3ヶ月間しいたけ菌を定着させます。
その後、「本伏せ」といって、しいたけ菌がしっかりと原木に回り伸びるように、原木と原木のの間をあける配置に伏せなおすのです。
この「コマ打ち」作業は、まだ2日目です。全てを終わるのに1週間ほど要します。しかし、雨天時にはその作業はできません。しいたけ菌以外の雑菌が入る可能性があるからです。先日までは、伐採した樹木があった谷もきれいになっていました。
私もこうして取材をして、『原木しいたけ』を育てる本当の苦労を知ることができました。
『原木しいたけ』が国内生産量のわずか2割にまで減少しているのは、これほどの歳月と労力を必要とするからなのです。
現在、店頭に並んでいる“生”しいたけは、そのほとんどが、「菌床栽培」と言われるものです。おがくず等を肥料として使う栽培方法で、ハウスや建物の中で栽培され、温度や湿度管理をすることで、1年を通して収穫が可能です。
一方、『原木しいたけ』は、これほどの時間と労力を要し、収穫時期もわずか5ヶ月ほどです。
本日「コマ打ち」作業をご紹介した『原木しいたけ』を収穫できるのは来年です。「小春農園」さんでは、これからも惜しまぬ手間ひまと愛情を持って、“本物”と呼べる最高級の『原木しいたけ』を育て上げていきます。
今年も「FLCパートナーズストア」で、「小春農園」さんの『原木しいたけ』をネット独占販売させていただきますが、2年も前から育て上げてきた、その苦労とこだわりの思い、そして愛情も一緒に、皆様にご案内させていただきたく思います。
「小春農園」さんへの敬意と感謝とともに・・・。
FLCパートナーズストア 笠 泰紀
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